- 想定依頼者
- 30代 / 女性 / 公務員 / 大阪府在住
- 想定期間
- 28日(依頼〜証拠取得まで)
- 想定費用レンジ
- ¥600,000 〜 ¥1,000,000
- 結末
- 不貞慰謝料300万円·離婚成立(親権獲得)
- 参照根拠
- 最高裁第三小法廷 平成31年2月19日判決 不貞行為慰謝料に関する事案(ほか5件、記事末参照)
東京の支社へ単身赴任して2年目の夫。月4回あった帰省が2回に減り、テレビ電話は「電波が悪い」とキャンセル続き。クレジット明細では赴任先の生活費だけが膨らんでいる——。本稿は、そんな違和感から調査依頼に踏み切った大阪在住・30代女性のケースを、想定28日・想定費用約82万円で再構成した進め方の解説です。判決例と公的統計を参照しながら、編集部が証拠戦略を読み解きます。
1. このケースの背景と仮想ペルソナ
仮想ペルソナは大阪府在住・30代女性、地方公務員。夫は40代前半の会社員で、東京の支社へ単身赴任して2年目に入りました。家族構成は依頼者と小学生の子ども2人で、平日のワンオペ育児を依頼者が担い、夫は金曜夜帰宅・月曜早朝出発の「週末婚」生活を続けていました。違和感の発端は3つです。第一に、月4回あった帰省頻度が直近半年で月2回に減少したこと。第二に、夜のビデオ通話を「電波が悪い」と頻繁にキャンセルされるようになったこと。第三に、共有しているクレジットカード明細で、赴任先のレストラン・ホテル・寝具量販店の支出が前年同月比で約1.8倍に増えていたことです。「現地の同僚と外食しているだけ」という夫の説明では、支出の内訳と頻度の整合がとれませんでした。厚生労働省「労働力調査」では単身赴任者は約60万人規模で推移しており、本ケースは特殊な家族構成ではなく、ごく一般的な共働き家庭で起こりうる状況です。
2. 依頼に至るまでの経緯
依頼者はまず自己観察で確証を得ようとしました。約2か月、夫の帰省日に持ち帰る私物(衣類のシワ、財布のレシート、私用スマートフォンの通知音)を観察し、メモアプリに日付と事象を記録します。しかし、夫はすでに警戒しており、私用スマートフォンには指紋認証ロックがかけられ、帰省時の衣類はクリーニング袋に入った状態でした。次に依頼者は、自分が新幹線で東京へ向かい、赴任先住居を直接確認することを検討しましたが、子ども2人の世話を平日に他者へ委ねることが現実的でなく、また、依頼者本人が夫の生活圏に立ち入った瞬間に「妻が来ていた」という事実そのものが残ってしまい、後の調停や訴訟で不利に働く可能性を弁護士の無料相談で指摘されました。最終的に依頼者は、自己観察の限界と、後の慰謝料請求や離婚協議で証拠の客観性が問われる点を踏まえ、外部の調査会社へ依頼する判断に至ります。離婚を最初から決めていたわけではなく、「事実を確定させてから選択肢を整理する」という意思決定でした。
3. 調査計画と実施タイムライン
調査会社は無料相談で「単身赴任型は通常の浮気調査より長期化しやすい」と説明しました。理由は2点。1つ目は、対象者が大阪と東京の2拠点で行動するため、赴任先の生活パターンを把握するまでに2〜3週間の観察期間が必要なこと。2つ目は、本ケースの目的が「ホテル単発の不貞撮影」ではなく「同棲化(住居・生活費の共有)の継続性立証」だったことです。後者は1日や2日の張込では確証に届きません。実施プランは以下のとおり、Day 1の無料相談から Day 28の報告書納品までを28日間の枠で組みました。Day 7に夫の出社経路から赴任先住居を逆算特定し、Day 14の第1回張込で女性の出入りを確認、Day 21には依頼者と相談のうえ夫の帰省日に大阪駅で接触する不貞相手の同行有無を撮影、Day 28に弁護士窓口紹介付きで報告書を納品する流れです。
4. 調査結果と費用内訳
調査の結果、夫は赴任先の最寄り駅から徒歩7分のマンションに、職場関係者ではない30代女性と週5日以上の同居生活を送っていることが、3週間にわたる張込写真40点と行動記録によって確認されました。住居前で女性が合鍵で出入りする様子、共用ベランダの私物配置の継続性、Day 21の帰省直前に大阪駅まで女性が見送りに同行している様子も撮影され、ホテル単発の不貞ではなく「同棲化した継続的な不貞行為」として立証可能な証拠群が揃いました。想定費用の合計は税抜 ¥820,000 で、内訳は基本料金(人件費)60% / 経費(大阪—東京交通・宿泊・現地待機)22% / 機材費 10% / 報告書 8% です。基本料金は7,500円/h × 8h × 2名 × 4日 = ¥492,000 を中心に算出。経費比率が出張型の事例より高いのは、新幹線往復・現地宿泊・赴任先カフェでの待機が前提だからです。日本調査業協会の業界目安と国民生活センター PIO-NET の探偵業相談の中央値に照らしても、想定費用 60〜100万円のレンジは現実的な水準です。
5. 解決後の選択肢(弁護士相談・離婚・和解)
報告書の納品後、依頼者は弁護士に同行を依頼し、夫および不貞相手に対する慰謝料請求と離婚協議に入りました。本ケースで取り得た選択肢を整理します。配偶者と直接協議は費用が最も低い反面、感情的対立で破談しやすく、合意書の作成段階で弁護士の関与が結局必要になる傾向があります。家庭裁判所の調停は調停委員が間に入るため冷静な合意形成に向きますが、不貞相手への慰謝料請求は別建ての民事訴訟が必要で、期間が伸びる点に注意です。本ケースでは弁護士同行の示談交渉が選ばれ、不貞慰謝料 300万円と離婚成立、親権は依頼者が取得する内容で書面合意に至りました。
| 選択肢 | 費用感 | 期間 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 弁護士同行で示談交渉 | 30〜80万円(成功報酬別) | 1〜3か月 | 合意書の法的強度が高い/不貞相手にも同時請求可 | 着手金が先行して発生 |
| 家庭裁判所の調停 | 2,100円程度+切手代+弁護士費用 | 3〜12か月 | 調停委員が間に入り感情的対立を緩和 | 不貞相手への請求は別建ての訴訟が必要 |
| 配偶者と直接協議 | 数万円〜(書面公正証書化費用) | 2週間〜2か月 | 費用が最も低く本人主導で進む | 合意書の不備で後日蒸し返しリスク |
| 不貞相手にのみ慰謝料請求(婚姻継続) | 20〜50万円+成功報酬 | 2〜6か月 | 家庭を壊さず損害だけ回復 | 不貞相手の所在特定と支払能力が前提 |
6. このケースから学ぶ編集部解説
単身赴任型で最初に押さえるべきは、「物理的な別居」と「婚姻関係の破綻」が法的には別物だという点です。単身赴任は会社命令による別居であり、原則として婚姻関係は維持されているとみなされます。したがって不貞慰謝料請求の枠組みは、同居夫婦と本質的に変わりません。最高裁第三小法廷 平成31年2月19日判決(不貞行為の慰謝料に関する事案)でも、不貞行為時点の婚姻関係の実態を個別に評価する考え方が示されており、形式的な別居のみで請求が制限されるわけではありません。撮影戦略では、ホテル単発ではなく「赴任先住居・生活費・私物の共有」という生活実態の継続性に焦点を当てるのが定石です。同棲化の継続性が立証できれば、「業務上の付き合いが深いだけ」という反論を予防できます。司法統計年報の家事事件編でも、不貞を主因とする離婚調停・訴訟は毎年安定的に発生しており、本ケースは特殊事例ではありません。
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参照判例
- 最高裁判所第三小法廷:最高裁第三小法廷 平成31年2月19日判決 不貞行為慰謝料に関する事案
- 東京地裁:単身赴任中の同棲関係を不貞行為と認定した東京地裁 令和年判決(事件番号伏せ型)
